株式会社常陽銀行

人材育成の "感覚的運用" から "戦略的活用" へ。「スキルの可視化」と「育成効果の見える化」が変える、人事の打ち手とその可能性。

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株式会社常陽銀行は茨城県を地盤とする地域密着型の地方銀行として、関東エリアを中心に広く金融サービスを提供しています。創立以来90年にわたり地域とともに歩んできた同行では、近年、人材育成の戦略的な取り組みを進めています。常陽銀行様では、これまで感覚的に行われていた人材育成や研修施策に対し、「実際の効果をどう測るか」「本当に成果につながっているのか」という問いを持ち続けてきました。

そこで導入されたのが、スキルの可視化と分析から育成施策のPDCAを可能にするGROWシリーズ。スキルマップの策定とスキル測定・分析の一連の運用を通じて、研修・育成の方向性がより戦略的に、また納得感のあるものとなりつつあります。

人材・組織の現在地と可能性を正しく捉え、成果につなげるための一歩。その取り組みの背景と手応えを、経営企画部の東田様・人事部の梶様に伺いました。


お話をお伺いした方:

株式会社常陽銀行
経営企画部 次長兼サステナビリティ推進室長 東田 武志 様
人事部人事グループ 主任調査役 梶 崇司 様

※本記事の掲載内容は全て取材時(2025年4月)現在の情報に基づいています


目次

課題感:人材育成の成果が「見えない」、さらなる投資への不安

スキルとパフォーマンスの関係が感覚頼りになっていた

常陽銀行様では、以前から人材育成に力を入れてきたものの、その成果を定量的に測定・可視化する手段が不足しており、施策の有効性や投資効果について明確に把握することが難しい状況にありました。

「人の能力(スキル)や、能力とパフォーマンスの関係は、感覚に頼って運用してきたところがあり、それ自体を何とかしたいという課題感は長らくもっていました。」(梶 様)

同時に、研修や育成施策が「やりっぱなし」になっていないか、そしてその効果が本当に出ているのかという疑問もありました。

「そのうえで、人事部も各所管部も、研修・育成には力を入れているものの、それがどういった効果につながっているのか不透明で、 “やりっぱなしになっていないか”と感じていました。本当に我々は正しい方向に投資をしているのだろうか、無駄な投資をしていないだろうか、という不安です。研修については、研修後、その内容を活かした業務を経験し、時間を経ることでようやく成果につながるようなものがほとんどです。そのため、成果や変化が本当に研修の効果なのかどうか判断できなくなることもあると感じていました。今後さらなる投資を検討していくために、人の能力を把握し、その変化を見るための何らかの“物差し”“尺度”が必要、というのがGROW導入に至った一番の目的です。」(梶 様)

人事部人事グループ 主任調査役 梶 崇司 様

人事部人事グループ 主任調査役 梶 崇司 様

導入のきっかけ:「人的資本開示」と測定ツールとしてのGROW

人的資本経営を「語れる状態」にするためのデータ化

人的資本の情報開示が2023年3月期決算以降の有価証券報告書から義務化されたことも、GROWによる人的資本(スキル・コンピテンシー)把握を後押ししたと言います。

「ただ開示をすればよい、とは考えていませんでした。“常陽銀行の人的資本経営とは何なのか”“何に力を入れているのか”“これからどうするのか”を何とか示せないか。そのための根拠となるデータ化ができるツールを探していました。」(梶 様)

「世の中を見渡しても、PBR問題への意識がとても高まっています。企業価値は、現在の収益性×将来性ですよね。収益性は、財務的な数字で可視化されていますが、将来性は、人材・成長戦略などの数値化しにくい非財務情報によっても評価されます。特に、私たちのような銀行業は、非財務情報の中でも、人的資本の部分が将来のパフォーマンスに影響していくのは確かです。これをどう社内外に説明していくのか。“育成しています”ということはできますが、“どれくらいの効果・変化が出ています”ということも見せていきたい。銀行業界ではあまり先例がなかったのですが、他の業態で企業価値が高い企業の人的資本の情報開示も参考にしながら、自分たちの開示のあり方を考えていました。」(東田 様)

経営企画部 次長兼サステナビリティ推進室長 東田 武志 様

経営企画部 次長兼サステナビリティ推進室長 東田 武志 様

活用と変化:スキルマップと測定データがもたらすスキルの可視化と納得感

スキルと業績の関係性がデータで見える化

「能力を可視化したい」「研修の効果を把握したい」という課題感を起点に、常陽銀行様はIGSとともに、営業部門についてのスキルマップを作成し、GROWによるスキル測定と分析を行うことに着手しました。運用開始から一定の期間を経て、行内でのコミュニケーションやマインドの変化、今後の施策検討への示唆が出てきています。

「メンバーのスキルと業績との関係においては、スキルレベルが上がると、営業成績も上がる、という連関が、データとして把握できるようになってきました。データを基に、誰に対してどのような研修を行うのが適切か、という議論がしやすくなりました。例えば、“ある資格を取得すると業績への貢献度が高い”という結果を受けて、“なるべく若いうちにその資格を取得してもらい、成果を出せる期間をのばしていきたい”と考えられるようになりました。そのために、対象者に研修を提供したり、合格時の報奨金を増やしてみたり、という取り組みを検討しているところです。」(梶 様)

データを戦略・施策立案の土台にするためには、納得感が重要です。GROWの特徴である「他者評価」や「測定バイアス補正」といった機能が、測定結果への信頼を高めていると言います。

「個人がどんな能力を持っているか、自分でどう認識しているかはもちろんですが、それがどのように外に表れているか、行動特性として見られるかというのは、周りの人に評価してもらわないと分からないものだと思います。ですから、自己評価のみでなく、他者評価との組み合わせでデータを見ることができるのはよいですね。そのうえで、人によって評価の基準が違ったり、波があったり、というブレがあるのは当然のことなので、それを一定の仕組みで補正してもらえているというのは、安心感がありますね。」(梶 様)

現場での活用と今後の展望:成果につながる施策への投資

スキルデータを育成・マネジメントに活かす現場の工夫

GROWでのスキル測定・行動特性の把握は、戦略的な人材投資だけでなく、若手の育成や異動時のマネジメントへの活用、行内の認定制度などにも活用が期待されます。

「こういった測定データが出ると、ただのスコアと認識してしまう人もいます。そうではなくて、メンバーの行動特性を把握することで、その育成方法やコミュニケーションに役立てられる、ということの理解が深まれば、現場での日常業務にもとても役立つと思います。例えば、支店長が、異動してきたメンバーをどう育成していくか、どう接するのがよいかという初期の参考にするといった使い方もありますね。その意味では、測定データの読み解き方・使い方を行内でもっと浸透させられるような研修などをIGSさんには提供してもらえるといいですね。」(東田 様)

「もともと業務スキルについて行内の認定制度があるのですが、GROW測定でわかるスキルレベルを、認定の際に活用することも検討しています。」(梶 様)

「GROWでは、IGSが提供するグローバル基準ベースのスキルと、自分たちが測定したいと考えるスキルの組み合わせで測定をするため、自社人材のスキルレベルを他社と比較することも可能です。ベンチマーク比較ができるということです。組織の現在地はわかってきて、人的資本の情報開示の際に説明できる情報も集まってきました。今後は、自社がベンチマークと比較してどうかということも積極的に見ていきたいですね。その結果の良し悪しから課題を明確にし、これからの戦略・施策を具体的に検討、社内外に説明することも、継続的に企業価値を高めていくために大切な取り組みだと考えています。」(東田 様)

他社へのメッセージ:「まずは“物差し”を持ってみる」ことから

納得感あるスキル測定に向けた最初の一歩

GROW導入を検討している他社に向けて、常陽銀行様からのメッセージをいただきました。

「人の能力は数値化しづらく、人事としても扱いが難しい課題です。私たちも、どうやって測るか、どのような方法であれば皆に納得してもらえるのか、長らく悩み、なかなか踏み込めないという時期がありました。しかし、GROWを導入し、スキルマップづくりやスキル測定を行うことで、見えてきたことは多いです。まずは1つ、“物差し”を持ってみよう、“軸”をつくってみようと試みたことは大きな1歩だったと思います。」(梶 様)

「“人的資本”は“資本”と言いながら、なかなか定量化されていないのが現実ですよね。スキルの可視化やスキルマップが必要という話も、以前から言われていることですが、結局感覚的になってしまっていることが多いと思います。思い切って一旦データ化してみる、可視化してみる、という一歩を踏み出すと、議論を進めるきっかけになると実感しています。客観的な情報は、社内の取り組みを進める1つのヒントになるはずです。」(東田 様)

「また、GROWを使って自社人材のスキルレベルを測定する企業が増えてくると、私たちにとっても横比較する際のデータ・ベンチマークできる対象が増えていくということなので、うれしいですね。」(東田 様)

結びに:可視化の第一歩が、人事の戦略化につながる

人の力を正しく理解し、戦略的に活かすために

GROWを活用し、「人材育成」を感覚的な運用から「データに基づく戦略的な育成」へと変化させている常陽銀行様。

本質的な目的は、“目に見えにくい人の力”を、より正しく理解し、活かしていくことにあります。スキルの可視化、育成効果の見える化を通じて、研修や配置、育成の選択肢は着実に磨かれつつあります。

「まずは物差しを持ってみること」

そこから始まった常陽銀行の挑戦は、これからも、組織と人の力を引き出す新たな可能性を拓いていくことでしょう。

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