Institution for a Global Society(IGS)

【実録・HRケーススタディ】若手の早期離職対策は「防ぐ」より「ズレを減らす」(2026年4月)

  • #note

  • #人材アセスメント

  • #人材育成

  • #スキル可視化

  • #コンピテンシー評価

  • #評価

  • #GROW360+

本シリーズ「実録・HRケーススタディ」では、IGSの営業担当が日々向き合っている実際の企業相談をもとに、

・人事と経営のあいだで何が起きているのか
・どこで判断や施策が止まりやすいのか
・それをどう整理し、前に進めているのか

を、できるだけ具体的にお伝えしています。

「せっかく採用した若手が、数か月から1年ほどで辞めてしまう」

多くの企業で、早期離職は採用難と並ぶ大きな課題になっています。

背景としてよく挙がるのは、配属との相性、上司との関係性、仕事内容への印象、待遇への納得感などです。

もちろん、どれも重要な観点です。

ただ、実際にはもう少し手前に、丁寧に見ておきたいポイントがあります。

それは、会社が若手に何を期待しているのか、本人がどこまでできていて、何を伸ばしていくとよいのかが十分に見えていないことです。

早期離職は、本人だけの問題として捉えるよりも、入社後の立ち上がりの時期に生じる「期待」と「現状」のズレに目を向けることで、見え方が変わることがあります。

早期離職は、入社後の「小さなズレ」から始まることがある

若手社員が職場に定着しにくいとき、表面上はさまざまな理由が語られます。

「思っていた仕事と違った」
「自分がどう見られているのか分からない」
「何を求められているのかつかみにくい」
「頑張っているつもりでも、どこを伸ばせばよいかが見えにくい」

こうした言葉の背景には、共通する構造があります。

それは、期待されている役割が曖昧で、成長の基準も十分に共有されていないことです。

たとえば、上司は「主体的に動いてほしい」と思っていても、本人は「まずは言われたことを正確にこなすことが大事」と考えているかもしれません。

また、本人は一生懸命取り組んでいるつもりでも、周囲が見ている評価ポイントとずれていれば、「何を意識するとよいのか分からない」という状態になりやすくなります。

このズレが小さいうちに見つかれば、成長支援のテーマとして前向きに扱えます。

だからこそ、入社直後から期待役割や成長基準を丁寧にすり合わせていくことが大切です。

離職防止・定着支援のために、観点を変えてみるのも一手

早期離職対策として、面談回数を増やしたり、1on1を導入したり、オンボーディングを整備したりする企業は増えています。

これらの施策は、いずれも重要です。

そのうえで、さらに効果を高めるには、面談やフォローの「量」だけでなく、「何を基準に対話するか」にも目を向けることが有効です。

「最近どう?」
「困っていることはある?」
「もっと主体的に動けるとよいかもしれないね」

といった会話は、関係づくりの入り口としてはとても大切です。

一方で、本人にとって次の行動が見えやすくなるためには、もう少し具体的な観点があると対話の質が高まりやすくなります。

つまり、離職防止や定着支援を考えるときには、フォロー体制に加えて、何を基準に育成し、どのような成長を目指すのかを明確にするという視点を持つことも有効です。

そこで重要になるのが、行動特性の言語化

この点で役立つのが、行動特性を整理しておくことです。

ここでいう行動特性とは、単なる性格や印象ではなく、成果や周囲との良い協働につながりやすい行動の傾向を指します。

たとえば、報連相を適切に行う、相手の意図をくみ取る、課題を自分ごととして捉える、周囲を巻き込みながら動く、といった行動です。

若手育成の場面で重要なのは、「何をできるようになるべきか」だけではありません。

どのように行動できると、その役割をよりよく果たせるのかまで言語化されていることが大切です。

行動特性が整理されていると、本人は「この職場で期待されている振る舞い」を理解しやすくなります。
上司も、感覚的な印象だけでなく、具体的な行動に基づいてフィードバックしやすくなります。

これは、若手本人の納得感を高めるうえでも大きな意味があります。

能力の見える化は、「どう育てるか」を考えやすくする

もう一つ重要なのが、能力の見える化です。

能力というと、知識やスキルだけを想像しがちですが、実際にはもう少し広く捉えることができます。

業務知識、実務スキル、対人対応力、課題整理力、改善力など、役割に応じて必要な力を整理し、現状とのギャップを見えるようにすることが大切です。

これが整理されていると、育成の方向性がぐっと具体的になります。

本人にとっても上司にとっても、今できていること、これから伸ばしていきたいこと、次に意識したいことが共有しやすくなります。

たとえば、「もう少し頑張ってほしい」という抽象的なやり取りではなく、

「関係者への共有のタイミングを意識してみよう」
「課題を整理してから相談してみよう」

といった形で、行動につながる対話がしやすくなります。

若手にとっても、「自分には何が期待されていて、次にどこを伸ばせばよいのか」が見えることは、安心感や成長実感につながります。

早期離職への対応は、「辞める前のフォロー」だけでなく「早めのすり合わせ」から考えたい

早期離職対策というと、辞めたいサインが見えてからの面談やフォローに意識が向きがちです。

もちろん、それも大切な対応です。

一方で、より前の段階から、

・この役割で何を期待しているのか
・どのような行動が求められるのか
・今どこまでできているのか
・次に何を伸ばしていくとよいのか

これらが見える状態になっていれば、本人も上司も認識をそろえやすくなります。

そして、そのズレは大きな違和感になる前に、育成テーマとして前向きに扱うことができます。

早期離職への対応とは、単に辞めないようにすることだけではなく、本人が期待役割を理解し、自分の成長の方向性を持ちながら働ける状態をつくることでもあります。

そのためには、日々のフォローに加えて、行動特性や能力を整理し、育成と評価の基準をそろえていくことが、定着支援の土台になっていくのではないでしょうか。


若手の早期離職対策や、行動特性・能力の見える化にご関心をお持ちの方は、ぜひ「GROW360+」にご相談ください。

GROW360+の詳細はこちらからご覧いただけます。
お問い合わせはこちらからどうぞ。

2026/10/6

【実録・HRケーススタディ】次世代リーダー候補は「異端児」だった──理論に基づく人材要件測定で見えた、既存評価と真逆の適性(2026年4月)

「人材投資が3年後の利益をいくら押し上げるのか、投資家が納得できる形で示してほしい」――経営から突きつけられたこの問いに、蓄積してきた人事データは無力でした。仕事を「タスク」単位に分解し、AIと人が担うべき能力を再定義したところ、新しく定義したコンピテンシーの活用度と実際の業績指標のあいだに、統計的...

2026/10/6

【実録・HRケーススタディ】若手の早期離職対策は「防ぐ」より「ズレを減らす」(2026年4月)

本シリーズ「実録・HRケーススタディ」では、IGSの営業担当が日々向き合っている実際の企業相談をもとに、・人事と経営のあいだで何が起きているのか・どこで判断や施策が止まりやすいのか・それをどう整理し、前に進めているのかを、できるだけ具体的にお伝えしています。「せっかく採用した若手が、数か月から1年ほ...

2026/10/6

【実録・HRケーススタディ】360度評価レポートの内容が抽象的に見えるのはなぜか?―行動変容につなげるための設計と、良いレポートの条件(2026年4月)

本シリーズ「実録・HRケーススタディ」では、IGSの営業担当が日々向き合っている実際の企業相談をもとに、人事と経営のあいだで何が起きているのかどこで判断や施策が止まりやすいのかそれをどう整理し、前に進めているのかを、できるだけ具体的にお伝えしています。プライム市場上場、従業員約3,000名規模のメー...

2026/10/6

【実録・HRケーススタディ】予測市場でエンゲージメント投資のROIを可視化する──「全社研修継続12%」vs「自由選択制85%」、集合知が示した打ち手(2026年4月)

「スコアを3ポイント上げるのに、来期の利益をいくら押し上げるのか」――経営から詰め寄られても、エンゲージメント施策の効果を証明できない人事は少なくありません。予測市場という手法で社員に「この施策は半年後のスコアを上げると思うか」を予測させたところ、全社一律のキャリア研修継続への支持率はわずか12%、...

2026/10/6

【実録・HRケーススタディ】700名の経営幹部候補をどう選ぶか? 2万人規模企業のサクセッション設計を支えた「評価基準」のつくり方(2026年3月)

約2万人規模の企業で、経営幹部候補約700名の評価基準をどう設計するか——最高執行責任者やCFOなど10程度のCxOポジションに対し、スキル・コンピテンシー・気質をどう定義し、比重づけるかが最初の壁でした。世界標準のジョブディスクリプション(ESCO・O*NET)を学習したAIエージェントと人の判断...

シェアする

導入事例一覧に戻る

Contact

資料請求・お問い合わせ

資料請求
お問い合わせ

ご質問・ご相談などは、以下の「お問い合わせ」ボタンよりお寄せください。

担当者より、遅くとも3営業日以内にご連絡いたします。

また、ダウンロードいただける資料もご用意しております。「お役立ち資料」ボタンよりご参考ください。