

Institution for a Global Society(IGS)
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本シリーズ「実録・HRケーススタディ」では、IGSの営業担当が日々向き合っている実際の企業相談をもとに、
・人事と経営のあいだで何が起きているのか
・どこで判断や施策が止まりやすいのか
・それをどう整理し、前に進めているのか
を、できるだけ具体的にお伝えしています。
多くの企業で、早期離職は採用難と並ぶ大きな課題になっています。
背景としてよく挙がるのは、配属との相性、上司との関係性、仕事内容への印象、待遇への納得感などです。
もちろん、どれも重要な観点です。
ただ、実際にはもう少し手前に、丁寧に見ておきたいポイントがあります。
それは、会社が若手に何を期待しているのか、本人がどこまでできていて、何を伸ばしていくとよいのかが十分に見えていないことです。
早期離職は、本人だけの問題として捉えるよりも、入社後の立ち上がりの時期に生じる「期待」と「現状」のズレに目を向けることで、見え方が変わることがあります。
若手社員が職場に定着しにくいとき、表面上はさまざまな理由が語られます。
「思っていた仕事と違った」
「自分がどう見られているのか分からない」
「何を求められているのかつかみにくい」
「頑張っているつもりでも、どこを伸ばせばよいかが見えにくい」
こうした言葉の背景には、共通する構造があります。
それは、期待されている役割が曖昧で、成長の基準も十分に共有されていないことです。
たとえば、上司は「主体的に動いてほしい」と思っていても、本人は「まずは言われたことを正確にこなすことが大事」と考えているかもしれません。
また、本人は一生懸命取り組んでいるつもりでも、周囲が見ている評価ポイントとずれていれば、「何を意識するとよいのか分からない」という状態になりやすくなります。
このズレが小さいうちに見つかれば、成長支援のテーマとして前向きに扱えます。
だからこそ、入社直後から期待役割や成長基準を丁寧にすり合わせていくことが大切です。
早期離職対策として、面談回数を増やしたり、1on1を導入したり、オンボーディングを整備したりする企業は増えています。
これらの施策は、いずれも重要です。
そのうえで、さらに効果を高めるには、面談やフォローの「量」だけでなく、「何を基準に対話するか」にも目を向けることが有効です。
「最近どう?」
「困っていることはある?」
「もっと主体的に動けるとよいかもしれないね」
といった会話は、関係づくりの入り口としてはとても大切です。
一方で、本人にとって次の行動が見えやすくなるためには、もう少し具体的な観点があると対話の質が高まりやすくなります。
つまり、離職防止や定着支援を考えるときには、フォロー体制に加えて、何を基準に育成し、どのような成長を目指すのかを明確にするという視点を持つことも有効です。
この点で役立つのが、行動特性を整理しておくことです。
ここでいう行動特性とは、単なる性格や印象ではなく、成果や周囲との良い協働につながりやすい行動の傾向を指します。
たとえば、報連相を適切に行う、相手の意図をくみ取る、課題を自分ごととして捉える、周囲を巻き込みながら動く、といった行動です。
若手育成の場面で重要なのは、「何をできるようになるべきか」だけではありません。
どのように行動できると、その役割をよりよく果たせるのかまで言語化されていることが大切です。
行動特性が整理されていると、本人は「この職場で期待されている振る舞い」を理解しやすくなります。
上司も、感覚的な印象だけでなく、具体的な行動に基づいてフィードバックしやすくなります。
これは、若手本人の納得感を高めるうえでも大きな意味があります。
もう一つ重要なのが、能力の見える化です。
能力というと、知識やスキルだけを想像しがちですが、実際にはもう少し広く捉えることができます。
業務知識、実務スキル、対人対応力、課題整理力、改善力など、役割に応じて必要な力を整理し、現状とのギャップを見えるようにすることが大切です。
これが整理されていると、育成の方向性がぐっと具体的になります。
本人にとっても上司にとっても、今できていること、これから伸ばしていきたいこと、次に意識したいことが共有しやすくなります。
たとえば、「もう少し頑張ってほしい」という抽象的なやり取りではなく、
「関係者への共有のタイミングを意識してみよう」
「課題を整理してから相談してみよう」
といった形で、行動につながる対話がしやすくなります。
若手にとっても、「自分には何が期待されていて、次にどこを伸ばせばよいのか」が見えることは、安心感や成長実感につながります。
早期離職対策というと、辞めたいサインが見えてからの面談やフォローに意識が向きがちです。
もちろん、それも大切な対応です。
一方で、より前の段階から、
・この役割で何を期待しているのか
・どのような行動が求められるのか
・今どこまでできているのか
・次に何を伸ばしていくとよいのか
これらが見える状態になっていれば、本人も上司も認識をそろえやすくなります。
そして、そのズレは大きな違和感になる前に、育成テーマとして前向きに扱うことができます。
早期離職への対応とは、単に辞めないようにすることだけではなく、本人が期待役割を理解し、自分の成長の方向性を持ちながら働ける状態をつくることでもあります。
そのためには、日々のフォローに加えて、行動特性や能力を整理し、育成と評価の基準をそろえていくことが、定着支援の土台になっていくのではないでしょうか。
若手の早期離職対策や、行動特性・能力の見える化にご関心をお持ちの方は、ぜひ「GROW360+」にご相談ください。
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