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IAT

IATの概要

IAT(潜在連合テスト)とは、人が自分で意識することのできない潜在的態度を測定するためのテストの方法です。言葉の分類作業を通じて、概念と概念の結びつきの強さをはかります。1998年にGreenwaldらによって開発され、高い信頼性、妥当性をもつことが研究により示されている手法です。

IATが明らかにするもの

IATで測定する潜在的態度とは、心理学で用いられる表現で、「自分で意識したり、意図的に使えないが、持っている態度」のことです。普段自分の考えを選択式のアンケートなどで尋ねられる際は自覚できる顕在的な態度に基づいて回答しますが、そのような手法では測れない態度のことを指します。 また、差別や偏見などについて、社会的に望ましくないとされるために表出しにくい態度も含みます。研究により、固定観念や偏見、差別を見極めるための方法として、質問式や自己評価方式よりも信頼性の高い指標と考えられています。

IATの手順

テストでは、評価対象と、その対になる概念の組を用います。例を用いて以下手順を示します。
①右図のように「花ー虫」「快ー不快」のような組み合わせを用意し、受検者はまずこの組み合わせを学習します。

カテゴリー 刺激
バラ、さくら、チューリップ、ユリ、ライラック
あり、ごきぶり、はち、くわがた、はえ、くも
快い やさしい、うれしい、すばらしい、かわいい、うつくしい
不快な きたない、くさい、いやしい、みにくい、やかましい

②次に、評価対象を画面の左上また右上どちらかに分類するテストを行います。 (「とんぼ」を「虫ー不快な」を表示している右上に分類)

③テスト中左右に表示されている言葉の組み合わせが、無意識下で強く連合する場合にはスムーズに分類ができ、そうでない場合には反応時間に差が出たり、失敗したりします。 無意識のうちに自分が「虫ー不快」を強く連合させている場合には、「とんぼ」を「虫ー快」へ分類するときよりも「虫ー不快」に分類するときの方が速く反応することになります。


または
快い


または
不快な

とんぼ
×

IATの手順

活用の事例

自尊心に関する潜在的態度の測定

質問紙で顕在的態度として自尊心の強さを測定すると、日本人は中国人、アメリカ人に比べ低い結果が出ます。一方IATを利用して潜在的態度を調べると、他の文化圏の人と比べ同じ水準である結果が得られました。

人種差別に関する潜在的態度の測定

多くの研究で、黒人と白人を対にしたテストにより白人への肯定的な態度が報告されています。これは子どもを対象に実施した際も同様で、子供向けに方法をアレンジしたChild IATを実施した研究では、6歳、10歳、成人すべての集団において同程度の、白人に対する肯定的な態度が見られました。

IATの手順

GROW360では、人材の気質(比較的変化しにくい心理的傾向)を測定するためにIATを用いています。

測定は図のようにスマートフォンを用いて行い、5つの気質それぞれについて、自己と他者を評価対象に分類ゲームを行うことで、自分でも意識できない気質の傾向を可視化します。

GROW360におけるIAT

また、自身を社会的に望ましい姿に近づけようとして表出しにくいバイアスをチェックするテストとしても活用しています。

特許登録済:第6161097号「潜在意識推定システム、潜在意識推定方法及び潜在意識推定プログラム」 参考:森尾(2007)潜在的連合テストの可能性, 教育テスト研究センター第4回研究会報告書
Baron, A. S., & Banaji, M. R. (2006). The development of implicit attitudes: Evidence of Race evaluations from age 6 to 10 and adulthood. Psychological Science, 17, 53-58.
Poehlman et al., 2007, and the validity reports : http://faculty.washington.edu/agg/iat_validity.html)
Yamaguchi, S., Greenwald, A. G., Banaji, M. R., Murakami, F., Chen, D., Shiomura, K., Kobayashi, C., Cai, H., & Krendl, A. (2007). Apparent universality of positive implicit self-esteem. Psychological Science

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